有漢常山城(高梁市)

有漢常山城(高梁市)
所在地 〒716-1321 岡山県高梁市有漢町有漢
公式サイト https://www.city.takahashi.lg.jp/bunkazai/map/0106.html

有漢常山城(高梁市)完全ガイド|歴史・見所・アクセス・うかん常山公園の魅力

有漢常山城とは

有漢常山城(うかんつねやまじょう)は、岡山県高梁市有漢町に位置する中世の山城です。海抜265メートルの山頂部に築かれたこの城は、鎌倉時代の地頭であった秋庭氏によって築城されました。現在は「うかん常山公園」として整備され、模擬天守や石の風車が特徴的な観光スポットとなっています。

備中地域の歴史を語る上で重要な城跡であり、秋庭氏が後に備中松山城を築く前の拠点として機能していました。当時の遺構と現代の公園施設が調和した、歴史愛好家から家族連れまで楽しめる場所として注目されています。

城の基本情報

  • 所在地: 岡山県高梁市有漢町有漢(茶堂・土居地区の境)
  • 城郭分類: 山城
  • 標高: 265メートル
  • 比高: 約50メートル
  • 築城年代: 鎌倉時代
  • 築城者: 秋庭重信(秋葉重信)
  • 主要城主: 秋庭氏、新山玄蕃允家住、肥田五兵衛
  • 遺構: 郭、土塁、堀切
  • 指定: 高梁市指定史跡

有漢常山城の歴史

鎌倉時代の築城と秋庭氏

有漢常山城は鎌倉時代、備中国の地頭として任命された秋庭氏によって築かれました。秋庭重信(一部史料では秋葉重信とも表記)は、北側の山麓部分に正尺屋敷と呼ばれる居館を構え、その南正面に位置する常山に詰めの城として本城を築きました。

当時の山城は平時の居住空間ではなく、有事の際に立て籠もる軍事施設としての性格が強く、有漢常山城も秋庭氏の本貫地を守衛する番手城として機能していました。居館と詰城を組み合わせた城郭構造は、中世武士の典型的な居住形態を示しています。

備中松山城への移転

秋庭氏は後に、現在の高梁市中心部に位置する臥牛山に新たな城を築き、そちらへ本拠を移しました。これが後の備中松山城です。備中松山城は日本三大山城の一つとして現在も天守が現存する名城ですが、その前身となる城が有漢常山城だったことは、備中地域の城郭史において重要な意味を持ちます。

秋庭氏が常山城から松山城へ移転した理由としては、より交通の要衝に位置し、領国支配に適した立地であったことが考えられます。常山城は有漢の地を守る拠点としては優れていましたが、備中国全体を統治するには松山の方が地理的に有利だったのでしょう。

戦国時代の歴史

戦国時代に入ると、有漢常山城は三村氏の勢力下に入りました。三村氏は備中国を代表する戦国大名で、毛利氏と織田氏の間で揺れ動いた一族として知られています。この時期、城には三村方の武将である新山玄蕃允家住が居城したと伝えられています。

永禄年間から天正年間にかけての動乱期には、備中国は毛利氏と織田氏(後に豊臣氏)の勢力争いの最前線となりました。三村氏が織田方に転じたことで毛利氏との対立が激化し、天正3年(1575年)の備中兵乱では三村氏は滅亡しました。

その後、肥田五兵衛が居城したという記録も残っていますが、詳細な経緯は不明な点が多く、戦国時代末期には城としての機能は失われていったと考えられます。

江戸時代以降

江戸時代に入ると、有漢常山城は廃城となり、城跡は地元の人々の生活圏から離れた山林として残されました。明治以降も特に開発されることなく、中世山城の遺構が良好に保存される結果となりました。

昭和から平成にかけて、地域振興と歴史保存の観点から城跡の整備が進められ、現在のうかん常山公園として生まれ変わりました。歴史的価値を保ちながら、観光資源としても活用される事例として注目されています。

城の構造と縄張り

山城としての特徴

有漢常山城は典型的な中世山城の構造を持っています。標高265メートルの山頂部を主郭とし、周囲に複数の郭を配置した連郭式の縄張りとなっています。比高約50メートルという立地は、防御には十分でありながら、日常的な登城も可能な実用的な高さです。

山城の防御施設としては、土塁、堀切、切岸などが確認できます。これらは当時の築城技術を示す貴重な遺構であり、現在も公園整備の中で保存されています。

主郭と郭の配置

山頂部の主郭は城の中心となる空間で、現在は模擬天守が建てられています。主郭からは周囲の地形を見渡すことができ、軍事的な監視機能を持っていたことがわかります。

主郭の周囲には複数の郭が配置され、それぞれが防御ラインを形成していました。郭と郭の間には堀切が設けられ、敵の侵入を阻む工夫が見られます。これらの遺構は、鎌倉時代から戦国時代にかけての築城技術の変遷を物語っています。

居館跡との関係

城の北側山麓には、秋庭氏の居館である正尺屋敷跡が存在したとされています。現在は明確な遺構は残っていませんが、地名や地形から居館の位置を推定することができます。

山城と居館を組み合わせた構造は、中世武士の生活様式を反映しています。平時は山麓の居館で生活し、戦時には山上の城に籠城するという使い分けがなされていました。この二元的な城郭構造は、鎌倉時代から室町時代の武士の居住形態として一般的でした。

うかん常山公園の見所

石の風車「風の舞台」

うかん常山公園の最大の特徴は、7つの石の風車が並ぶ「風の舞台」です。これらの風車は石造文化の技術を活かした芸術作品であり、公園のシンボルとなっています。

有漢町は古くから石材加工が盛んな地域で、この伝統技術を活かして石の風車が制作されました。実際に風を受けて回転する風車は、優しい動きで訪れる人々を癒やしています。「風をあつめ、風をおこす」というキャッチフレーズのもと、地域交流の拠点としても機能しています。

石の風車は、高梁市(旧有漢町)のほか、友好都市である熊本県山鹿市の一本松公園、高知県四万十町の轟公園にも設置されており、石の風車が縁で結ばれた自治体間の交流が続いています。

城型展望館(風と化石の館)

山頂部には模擬天守を模した城型展望館「風と化石の館」が建てられています。この展望館は入場無料で、内部には地域の歴史や化石に関する展示があります。

展望館からは有漢の町並みや周囲の山々を一望でき、晴れた日には遠くの山並みまで見渡すことができます。当時の城主たちも同じような景色を眺めていたと想像すると、歴史のロマンを感じることができます。

展望館は歴史学習の場としても活用されており、地元の小中学生の郷土学習の場となっています。

遺構の見所

公園として整備されていますが、城跡としての遺構も良好に保存されています。主な見所としては以下があります。

土塁: 郭の周囲に築かれた土塁は、敵の侵入を防ぐための防御施設です。現在も明瞭に残る土塁からは、当時の築城技術を読み取ることができます。

堀切: 尾根を断ち切るように掘られた堀切は、山城特有の防御施設です。複数の堀切が確認でき、城の防御ラインを形成していました。

: 平坦に造成された郭は、建物を建てたり兵を配置したりする空間でした。規模や形状から、それぞれの郭の役割を推測することができます。

切岸: 人工的に削られた急斜面である切岸も、敵の登攀を困難にする工夫です。自然地形と人工的な加工が組み合わされた防御システムを観察できます。

城郭愛好家にとっては、これらの遺構を観察しながら当時の城の姿を想像する楽しみがあります。案内板も設置されているため、初心者でも遺構の意味を理解しながら見学できます。

レストハウスと休憩施設

公園内にはレストハウスがあり、休憩や軽食を楽しむことができます。地元の特産品や土産物も販売されており、観光の拠点として利用できます。

ベンチや東屋も整備されており、ピクニックやハイキングの休憩場所としても最適です。春には桜、秋には紅葉と、四季折々の自然を楽しむことができます。

駐車場とアクセス施設

公園には100台収容の駐車場が整備されており、車でのアクセスが便利です。駐車場から展望館までは徒歩で登ることができ、適度な運動にもなります。

公園の入場料、展望館の入館料ともに無料であり、気軽に訪れることができる点も魅力です。

アクセス情報

車でのアクセス

岡山市方面から:

  • 岡山自動車道「賀陽IC」から約30分
  • 国道484号線を経由して有漢方面へ

広島方面から:

  • 中国自動車道「北房IC」から約20分
  • 国道313号線を経由

高梁市中心部から:

  • 車で約20分
  • 国道313号線を北上

カーナビゲーションには「うかん常山公園」または「岡山県高梁市有漢町有漢」と入力すると案内されます。

公共交通機関でのアクセス

公共交通機関でのアクセスは限られており、基本的には車の利用が推奨されます。

JR利用の場合:

  • JR伯備線「木野山駅」下車、タクシーで約10分
  • JR伯備線「備中高梁駅」下車、タクシーで約25分

路線バスの本数は少ないため、事前に時刻表を確認することをお勧めします。タクシーの利用が最も確実です。

周辺の観光施設との組み合わせ

有漢常山城を訪れる際は、周辺の観光スポットと組み合わせることで、より充実した旅行となります。

備中松山城(車で約30分): 現存天守を持つ日本三大山城の一つ。秋庭氏が常山城から移った城として、歴史的なつながりがあります。

吹屋ふるさと村(車で約40分): 赤銅色の石州瓦とベンガラ色の外観が美しい町並み保存地区。

高梁市成羽美術館(車で約30分): 児島虎次郎の作品を中心に展示する美術館。

高梁川流域の自然: 高梁川沿いには美しい渓谷や自然が広がり、ドライブコースとしても楽しめます。

訪問のベストシーズン

春(3月〜5月)

桜の季節には公園内の桜が咲き誇り、花見スポットとしても人気です。特に4月上旬が見頃となります。気候も穏やかで、散策に最適な季節です。

夏(6月〜8月)

緑が濃くなり、自然の中での森林浴が楽しめます。ただし、夏場は気温が高くなるため、熱中症対策として水分補給を忘れずに。早朝や夕方の訪問がお勧めです。

秋(9月〜11月)

紅葉の季節には山全体が色づき、美しい景観が楽しめます。10月下旬から11月上旬が紅葉の見頃です。気候も涼しく、城跡散策に最も適した季節と言えるでしょう。

冬(12月〜2月)

冬季は積雪の可能性があり、路面凍結に注意が必要です。ただし、雪景色の中の石の風車や展望館は幻想的で、写真撮影には絶好の機会となります。防寒対策をしっかりして訪問しましょう。

歴史学習と教育的価値

郷土史学習の場として

有漢常山城は地元の小中学生の郷土史学習の場として活用されています。実際の城跡を訪れることで、教科書だけでは得られない歴史の実感を得ることができます。

中世の山城の構造、武士の生活、備中地域の歴史など、多角的な学習が可能です。展望館の展示も教育的な内容となっており、子どもから大人まで楽しみながら学べます。

城郭研究の対象として

城郭研究の観点からも、有漢常山城は重要な研究対象です。鎌倉時代の山城の特徴を良好に残しており、中世城郭の研究に貢献しています。

近年の城ブームにより、全国の城郭愛好家が訪れるようになり、攻城団などのコミュニティでも情報交換が活発に行われています。御城印の配布も始まり、城めぐりの一環として訪問する人が増えています。

地域文化の継承

石の風車に代表される石造文化は、有漢地域の伝統技術です。公園を通じてこの文化を次世代に継承する取り組みが行われています。

地域のイベントでは、石工の実演や体験教室なども開催され、伝統技術への理解を深める機会が提供されています。

御城印と記念グッズ

御城印の入手

有漢常山城の御城印は、城跡や周辺の施設で入手できます。岡山県内の城郭を巡る際の記念として、多くの城郭ファンがコレクションしています。

御城印には城の歴史や特徴が記されており、訪問の記念品として、また歴史資料としても価値があります。デザインも工夫されており、コレクション性が高いアイテムです。

記念グッズ

レストハウスでは、石の風車をモチーフにした記念グッズや、地元の特産品が販売されています。訪問の記念として、また地域の応援として、お土産の購入も旅の楽しみの一つです。

周辺の城跡

備中松山城

有漢常山城から車で約30分の距離にある備中松山城は、秋庭氏が常山城の後に築いた城です。現存12天守の一つであり、山城としては唯一天守が現存する貴重な城です。

標高430メートルの臥牛山頂上に築かれた備中松山城は、雲海に浮かぶ「天空の山城」として近年人気を集めています。有漢常山城と合わせて訪問することで、秋庭氏の城郭史を辿ることができます。

鬼ノ城

車で約40分の距離にある鬼ノ城は、古代の山城(朝鮮式山城)です。有漢常山城とは時代が異なりますが、岡山県の城郭史を語る上で重要な遺跡です。

周匝茶臼山城

美作地域にある周匝茶臼山城も、岡山県の中世山城として知られています。城めぐりの一環として、複数の城を訪問するルートを組むことも可能です。

撮影スポットとしての魅力

石の風車と展望館

石の風車が並ぶ風景は、うかん常山公園の代表的な撮影スポットです。青空をバックにした風車、夕日に照らされる風車、季節の花と組み合わせた風車など、様々な構図で撮影できます。

城型展望館も、和風建築の美しさと周囲の自然が調和した被写体です。特に桜や紅葉の季節には、多くの写真愛好家が訪れます。

展望台からの眺望

展望館からの眺望も撮影スポットとして人気です。有漢の町並み、周囲の山々、遠くの山並みまで、広大な景色を写真に収めることができます。

朝日や夕日の時間帯には、光の加減が美しく、ドラマチックな写真が撮影できます。

地域振興と観光の取り組み

「風をあつめ、風をおこす」まちづくり

旧有漢町時代から続く「風をあつめ、風をおこす」というキャッチフレーズのもと、地域交流を重視したまちづくりが推進されてきました。

うかん常山公園はその中心的な施設として、地域内外の人々が集まる場となっています。イベントの開催、友好都市との交流、教育活動など、多様な取り組みが行われています。

友好都市との交流

石の風車を縁として、熊本県山鹿市、高知県四万十町と友好都市関係を結んでいます。それぞれの自治体に石の風車が設置されており、相互の交流イベントなどが開催されています。

こうした交流は、地域の活性化だけでなく、文化的な相互理解を深める機会となっています。

今後の展望

高梁市では、有漢常山城跡を含む歴史遺産の保存と活用に力を入れています。文化財としての価値を守りながら、観光資源として活用するバランスの取れた取り組みが続けられています。

城跡の調査研究も継続的に行われており、新たな発見や知見が期待されています。地域の歴史を次世代に伝える取り組みとして、今後も様々な活動が計画されています。

まとめ

有漢常山城は、鎌倉時代から戦国時代にかけての備中地域の歴史を伝える重要な城跡です。秋庭氏が築いた詰めの城として始まり、後の備中松山城へとつながる歴史的な意義を持っています。

現在は「うかん常山公園」として整備され、石の風車や城型展望館などの施設が整っています。歴史遺産としての価値を保ちながら、地域住民や観光客が楽しめる空間となっている点が特徴です。

無料で入場でき、駐車場も完備されているため、気軽に訪れることができます。備中松山城など周辺の観光スポットと組み合わせることで、岡山県の歴史と文化を深く知る旅が実現できるでしょう。

城郭愛好家にとっては中世山城の遺構を観察できる貴重な場所であり、家族連れにとっては自然の中で歴史を学べる教育の場です。四季折々の美しい景観も楽しめる、多面的な魅力を持つ史跡として、今後も多くの人々に親しまれることでしょう。

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