浜田城

所在地 〒697-0027 島根県浜田市殿町123−10
公式サイト http://www.city.hamada.shimane.jp/www/contents/1392950863464/index.html

浜田城の歴史と見どころ完全ガイド|続日本100名城の石垣と城跡を徹底解説

浜田城とは

浜田城は、島根県浜田市の中心部に位置する標高67~68メートルの独立丘陵上に築かれた梯郭式平山城です。別名「亀山城」とも呼ばれ、元和5年(1619年)から慶応2年(1866年)までの約247年間、浜田藩の政庁として重要な役割を果たしました。現在は「続日本100名城」に選定され、石垣が良好に残る城山公園として市民や観光客に親しまれています。

浜田城の最大の特徴は、北側を松原湾、東側を浅井川、南側・西側を浜田川に囲まれた天然の要害としての立地です。この地形を巧みに活用した縄張りは、江戸時代初期の築城技術の粋を集めたものとして高く評価されています。

浜田城の歴史

築城の経緯と古田重治

元和5年(1619年)、大坂の陣での功績により、伊勢国松坂城主であった古田重治が5万4000石(一説に5万5000石)で浜田藩初代藩主として入封しました。古田重治は織田信長の重臣であった古田重然(織部)の甥にあたる人物で、築城技術にも優れていたとされています。

翌元和6年(1620年)2月から浜田城の築城に着手し、約5年の歳月をかけて完成させました。築城にあたっては、地元の石工や大工を動員するとともに、近隣の村々から人夫を集め、大規模な土木工事が行われました。本丸には三重の天守が建てられ、城下町の整備も同時に進められました。

歴代藩主と浜田藩の変遷

浜田城を居城とした浜田藩は、江戸時代を通じて複数の藩主家が統治しました。

古田家時代(1619年-1648年)

初代古田重治から始まる古田家の統治は、3代古田重恒の時代まで続きました。しかし慶安元年(1648年)、重恒が乱心により家臣を殺害する事件を起こし、改易となりました。この事件により古田家の浜田藩統治は終わりを告げます。

松平(松井)家時代(1648年-1666年)

古田家改易後、松平康映が3万石で入封しましたが、寛文6年(1666年)に出雲松江藩へ転封となりました。

松平(越智)家時代(1666年-1698年)

松平康映に代わって松平近栄が6万1000石で入封しましたが、元禄11年(1698年)に嗣子なく断絶しました。

松平(本庄)家時代(1698年-1731年)

松平直矩が5万石で入封し、享保16年(1731年)まで統治しましたが、その後転封となりました。

井上家時代(1731年-1866年)

天保11年(1731年)、井上正甫が5万石で入封して以降、井上家が幕末まで浜田藩を治めました。明和6年(1769年)には石見銀山領の管理も任され、藩の役割が拡大しました。この井上家統治時代が最も長く、約135年間続きました。

第二次長州征伐と自焼退城

浜田城の歴史で最も劇的な出来事が、慶応2年(1866年)の第二次長州征伐(四境戦争)における落城です。

幕府軍の一員として長州藩と対峙することになった浜田藩でしたが、慶応2年6月7日、大村益次郎率いる長州軍約2000名が浜田に侵攻しました。浜田藩の兵力は約1000名で、数的に不利な状況でした。

激しい戦闘の末、浜田城は陥落の危機に瀕します。6月7日夜、藩主井上正直は城に火を放ち、自ら城を焼いて退却する「自焼退城」を決断しました。城内の建造物はすべて焼失し、藩主一行は津和野藩を経由して山口県の萩へ逃れました。

この戦いにより、天守をはじめとする浜田城の全建造物が失われ、現在見られるのは石垣のみとなっています。この自焼退城は、浜田藩247年の歴史に幕を下ろす象徴的な出来事となりました。

明治以降の浜田城跡

明治維新後、浜田城跡は公園として整備されることになりました。石垣は良好に保存され、桜の名所として市民の憩いの場となっています。昭和から平成にかけて、石垣の修復工事も行われ、歴史的遺産としての保存が進められてきました。

平成29年(2017年)には「続日本100名城」に選定され、全国の城郭ファンから注目を集める観光スポットとなっています。

浜田城の形式と構造

縄張(基本配置)

浜田城は梯郭式(ていかくしき)平山城として設計されました。梯郭式とは、本丸を最高所に配置し、そこから階段状に二の丸、三の丸を配置する形式です。

城の基本構造は以下の通りです:

  • 本丸: 標高約68メートルの丘陵頂部を平坦にして築かれた中心部
  • 二の丸: 本丸の南側に配置された狭い曲輪
  • 三の丸: 二の丸からさらに南側に配置された曲輪
  • 出丸: 本丸の西側に独立して配置された防御拠点

浜田川が西側と南側を、浅井川が東側を、松原湾が北側を囲むことで、天然の堀の役割を果たしていました。この地形を最大限に活用した縄張りは、攻撃に対して非常に強固な防御力を持っていました。

本丸の構造

本丸は城の中心部として、最も重要な施設が集中していました。本丸には三重の天守が建てられ、その周囲に御殿や櫓が配置されていました。

天守は三重三階の層塔型で、外観は白漆喰で仕上げられていたと伝えられています。天守台の石垣は現在も良好に残っており、当時の規模を偲ぶことができます。

本丸の石垣は「野面積み」と「打込接ぎ」の技法が混在しており、築城時期の技術的特徴を示しています。特に本丸北側の石垣は高さがあり、見応えのある遺構となっています。

石垣の特徴

浜田城の石垣は、江戸時代初期の築城技術を示す貴重な遺構です。使用されている石材は地元で採取された花崗岩や安山岩で、自然石をほぼそのまま積み上げた「野面積み」の部分と、石の表面を加工して積んだ「打込接ぎ」の部分が見られます。

石垣の高さは場所によって異なりますが、本丸周辺では5~10メートル程度の高さがあります。特に本丸北側の石垣は保存状態が良く、当時の姿をよく留めています。

角部分には「算木積み」という技法が用いられており、長方形の石を交互に組み合わせることで強度を高めています。この技法は江戸時代初期の城郭に特徴的なもので、浜田城の築城年代を示す重要な手がかりとなっています。

遺構・現存建造物

現存する石垣

浜田城の最大の見どころは、良好に保存されている石垣群です。本丸から三の丸にかけて、階段状に配置された石垣が現存しており、当時の城郭の規模と構造を理解することができます。

特に注目すべき石垣は以下の通りです:

  1. 本丸石垣: 天守台を含む本丸周囲の石垣で、最も高く堅固な造り
  2. 二の丸石垣: 本丸南側に続く石垣で、虎口(出入口)の構造が確認できる
  3. 三の丸石垣: 城の外郭を形成する石垣
  4. 出丸石垣: 西側の防御拠点として独立した石垣

近年、石垣の保存修理工事が行われ、崩落の危険がある部分については積み直しが実施されています。修復にあたっては、できる限り元の石材を使用し、伝統的な技法を用いることで、歴史的価値を損なわないよう配慮されています。

移築門

城山公園の登城道には、津和野藩の武家屋敷から移築された門が建っています。この門は浜田城のオリジナルではありませんが、城跡に歴史的雰囲気を加える重要な要素となっています。

江戸時代の武家屋敷門の様式を残すこの門は、当時の建築技術を知る上でも貴重な建造物です。

御便殿(ごべんでん)

浜田城跡の近くには、明治時代に建設された「御便殿」があります。これは明治天皇の山陰巡幸に際して建てられた休憩所で、現在は浜田城資料館として活用されています。

御便殿では浜田城の歴史や浜田藩に関する資料、北前船寄港地であった外ノ浦の歴史などが展示されており、浜田の歴史を総合的に学ぶことができます。

浜田城の見どころ

天守台からの眺望

本丸の天守台跡に登ると、浜田市街地と日本海を一望できる絶景が広がります。標高約68メートルの高さから見下ろす景色は、かつての城主たちも眺めたであろう光景です。

晴れた日には、北側に広がる日本海の水平線まで見渡すことができ、西側には浜田川が蛇行しながら流れる様子、東側には市街地の広がりを確認できます。特に夕暮れ時の景色は美しく、日本海に沈む夕日を眺めることができます。

桜の名所

浜田城跡は桜の名所としても知られています。城山公園内には約300本のソメイヨシノが植えられており、毎年3月下旬から4月上旬にかけて満開を迎えます。

桜の季節には、石垣と桜のコントラストが美しく、多くの花見客で賑わいます。夜間にはライトアップも行われ、幻想的な雰囲気の中で夜桜を楽しむことができます。

石垣に映える桜の姿は、城郭ファンだけでなく写真愛好家にも人気のスポットとなっています。

続日本100名城スタンプ

浜田城は平成29年(2017年)に「続日本100名城」(No.172)に選定されました。続日本100名城スタンプは、浜田城資料館(御便殿)に設置されており、城郭巡りを楽しむ方々が訪れています。

スタンプには浜田城の石垣と天守のイラストがデザインされており、記念として人気があります。

石碑と案内板

城山公園内には、浜田城の歴史を説明する案内板や石碑が複数設置されています。主な石碑には以下のものがあります:

  • 浜田城跡の碑
  • 自焼退城の説明板
  • 各曲輪の位置を示す案内板
  • 石垣の構造を説明する解説板

これらの案内板を読みながら散策することで、浜田城の歴史と構造をより深く理解することができます。

浜田城と関連史跡

城下町の遺構

浜田城の城下町は、城の南側に広がっていました。現在の浜田市中心部がその名残を留めており、碁盤目状の道路配置に当時の町割りの痕跡を見ることができます。

城下町には武家屋敷や町人町が配置され、商業の中心地として栄えました。現在も一部の地名に「殿町」「紺屋町」など、城下町時代の名残が残っています。

外ノ浦と北前船

浜田城の北側に位置する外ノ浦(とのうら)は、江戸時代から明治時代にかけて北前船の寄港地として繁栄しました。浜田藩の海の玄関口として重要な役割を果たし、多くの廻船問屋が軒を連ねていました。

外ノ浦は平成29年(2017年)に「北前船寄港地・船主集落」の一つとして日本遺産に認定されており、浜田城と合わせて訪れることで、浜田の歴史をより立体的に理解することができます。

浜田護国神社

城山公園内には浜田護国神社が鎮座しています。この神社は明治維新以降の戦没者を祀る神社で、浜田城跡という歴史的な場所に建てられています。

神社からの眺めも良く、参拝と合わせて景色を楽しむことができます。

現地情報とアクセス

アクセス方法

電車でのアクセス

JR山陰本線「浜田駅」から徒歩約25~30分です。駅前からタクシーを利用すれば約5分でアクセスできます。

浜田駅から城山公園までは、市街地を通る道のりで、途中に商店街などもあり、街歩きを楽しみながら向かうことができます。

車でのアクセス

山陰自動車道「浜田IC」から約10分です。城山公園には無料の駐車場が整備されており、約30台分の駐車スペースがあります。

バスでのアクセス

浜田駅前から石見交通バス「医光寺・美川方面」行きに乗車し、「殿町」バス停下車、徒歩約5分です。

見学情報

  • 見学時間: 城山公園は24時間自由に散策可能
  • 入場料: 無料
  • 所要時間: 30分~1時間程度(じっくり見学する場合は1時間半~2時間)
  • トイレ: 公園内に公衆トイレあり
  • バリアフリー: 本丸までは階段や坂道があり、車椅子での移動は困難

浜田城資料館(御便殿)

  • 開館時間: 9:30~16:30
  • 休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
  • 入館料: 無料
  • 住所: 島根県浜田市殿町123-1
  • 電話: 0855-24-1402

資料館では浜田城の歴史資料や模型、浜田藩に関する展示が行われており、城跡散策の前後に訪れることをおすすめします。

見学のポイント

浜田城跡を訪れる際のポイントをいくつか紹介します:

  1. 歩きやすい靴で: 城山公園内は坂道や階段が多いため、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします
  2. 春の桜シーズンがおすすめ: 桜の季節は特に美しく、多くの観光客で賑わいます
  3. 資料館を先に見学: 浜田城資料館で歴史を学んでから城跡を散策すると、より理解が深まります
  4. 天守台からの眺望: 本丸の天守台跡からの眺めは必見です
  5. 所要時間に余裕を: 石垣をじっくり観察したり、写真撮影を楽しむなら、1時間半~2時間程度の時間を確保すると良いでしょう

周辺の観光スポット

浜田城跡を訪れた際には、以下の周辺スポットも合わせて巡ることをおすすめします:

  • 外ノ浦(日本遺産・北前船寄港地): 徒歩約15分
  • 浜田市世界こども美術館: 車で約10分
  • 石見海浜公園: 車で約15分
  • しまね海洋館アクアス: 車で約20分
  • 石見畳ヶ浦: 車で約20分

浜田城の文化財指定

浜田城跡は以下の文化財指定を受けています:

  • 島根県指定史跡: 昭和46年(1971年)4月13日指定
  • 続日本100名城: 平成29年(2017年)選定(No.172)

これらの指定により、浜田城跡は歴史的価値が公式に認められた重要な文化遺産として保護されています。

まとめ

浜田城は、元和5年(1619年)に古田重治によって築城され、約247年間にわたって浜田藩の中心として重要な役割を果たした城郭です。慶応2年(1866年)の第二次長州征伐における自焼退城という劇的な最期を遂げましたが、現在も良好に保存された石垣が当時の姿を伝えています。

標高約68メートルの丘陵上に築かれた梯郭式平山城という形式、浜田川と松原湾に囲まれた天然の要害という立地、そして江戸時代初期の築城技術を示す石垣群は、城郭史の観点からも非常に価値の高い遺構です。

現在は城山公園として整備され、桜の名所としても親しまれている浜田城跡は、続日本100名城にも選定されており、全国の城郭ファンが訪れる人気スポットとなっています。浜田市を訪れた際には、ぜひこの歴史ある城跡を訪れ、石垣に刻まれた歴史と、天守台からの絶景を楽しんでください。

浜田城資料館での予習と合わせて城跡を散策することで、浜田藩の歴史や城郭の構造についてより深く理解することができるでしょう。また、日本遺産に認定された外ノ浦など周辺の歴史スポットと合わせて巡ることで、浜田の歴史を総合的に体感することができます。

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