上野城(伊賀上野城)完全ガイド|歴史・見どころ・高石垣の魅力を徹底解説
上野城(伊賀上野城)とは
上野城(うえのじょう)は、三重県伊賀市上野丸之内に位置する日本の城で、伊賀上野城または白鳳城とも呼ばれています。忍者の里として知られる伊賀の地に築かれたこの城は、日本屈指の高石垣と美しい天守閣で多くの観光客を魅了しています。
城跡は昭和42年(1967年)12月27日に国の史跡に指定され、現在の天守閣は昭和60年(1985年)3月18日に伊賀市有形文化財に指定されています。標高約184メートルの丘陵地に築かれた平山城であり、その戦略的な立地と堅固な防御構造は、戦国時代から江戸時代初期の城郭建築の粋を今に伝えています。
上野城の歴史
筒井定次による築城(天正期)
上野城の歴史は、天正13年(1585年)に遡ります。豊臣秀吉の命を受けた筒井定次(つついさだつぐ)が、大和郡山城から伊賀国へ移封された際、平楽寺・薬師寺があった台地に近世城郭として伊賀上野城を築城しました。
筒井定次は高丘の頂上を本丸とし、東寄りに三層の天守閣を建設しました。この時期の上野城は、主に東方からの脅威、特に伊賀忍者の反乱を警戒するための軍事拠点としての性格が強く、城下町は古くから開けていた北側(現在の小田町)を中心に発展しました。
藤堂高虎による大改修(慶長期)
慶長13年(1608年)、築城の名手として名高い藤堂高虎が伊予国今治から伊賀・伊勢に移封されると、上野城は大規模な改修を受けることになります。この時期、徳川家康は大坂の豊臣家に対する警戒を強めており、藤堂高虎は西の大坂城ににらみを効かせる出城として上野城の大改修を命じられました。
高虎は慶長16年(1611年)から大規模な拡張工事に着手し、特に西側の防御を強化するため、高さ約30メートルに及ぶ高石垣を築きました。この石垣は日本でも1、2を争う高さを誇り、現在でも上野城最大の見どころとなっています。
また、高虎は五層の豪壮な天守の建設を計画しましたが、慶長17年(1612年)の暴風雨によって完成間近の天守が倒壊してしまいます。その後、大坂の陣で豊臣家が滅亡したこともあり、天守は再建されることなく、江戸時代を通じて天守台のみが残る状態が続きました。
藤堂家の居城として
天守は再建されませんでしたが、上野城は藤堂家の居城として幕末まで機能し続けました。藤堂家は伊賀・伊勢32万石を治める大名として、上野城を拠点に領国経営を行いました。城下町は北側を中心に発展し、商業や文化の中心地として栄えました。
明治以降と天守閣の復興
明治維新後、多くの城が破却される中、上野城も例外ではありませんでした。しかし、石垣や堀などの主要な遺構は残され、城跡は公園として整備されました。
昭和10年(1935年)、地元の代議士で衆議院議員を務めた川崎克(かわさきかつ)が私財を投じて、木造三層の天守閣を復興しました。この復興天守は、史実に基づいた正確な復元ではなく、伊賀文化産業協会(現在は公益財団法人伊賀文化産業協会)によって管理される模擬天守ですが、木造建築ならではの温かみと戦国時代の雰囲気を今に伝える貴重な建造物として、多くの人々に親しまれています。
上野城の城郭構造
縄張りと配置
上野城は平山城として、丘陵地の地形を巧みに利用した縄張りとなっています。本丸を中心に、二の丸、三の丸が配置され、堀と石垣によって厳重に防御されていました。
藤堂高虎による改修後は、特に西側の防御が強化され、大坂方面からの攻撃に備えた構造となっています。本丸の西側には、高さ約30メートルの高石垣がそびえ立ち、その威容は訪れる者を圧倒します。
日本屈指の高石垣
上野城を語る上で欠かせないのが、高石垣です。藤堂高虎が築いたこの石垣は、高さ約30メートルに達し、大阪城の石垣とともに日本でも最高クラスの高さを誇ります。
石垣は「打込接(うちこみはぎ)」という技法で積まれており、石と石の間に小石を詰めることで強度を高めています。垂直に近い急勾配で積み上げられた石垣は、敵の侵入を困難にするだけでなく、見る者に藤堂家の威光を示す象徴的な存在でもありました。
現在でもこの高石垣は良好な状態で保存されており、石垣下から見上げる光景は圧巻です。特に西側の石垣は、内堀越しに眺めることができ、その高さと美しさを堪能できます。ただし、柵などがない部分もあるため、見学の際は十分な注意が必要です。
天守台と天守閣
本丸の東寄りには天守台が残されており、その上に昭和10年(1935年)に復興された三層三階の天守閣が建っています。復興天守は木造建築で、外観は白漆喰の美しい姿を見せています。
天守閣の内部は三層構造になっており、各階には武具や甲冑、藤堂家ゆかりの品々が展示されています。特に注目すべきは、藤堂家伝来の唐冠形兜(とうかんなりかぶと)をはじめとする貴重な武具類です。
最上階の天井には、横山大観をはじめとする著名な画家による色紙46点が飾られており、芸術的な価値も高い空間となっています。最上階からは伊賀の城下町を一望でき、晴れた日には遠く鈴鹿山脈まで見渡すことができます。
上野城の見どころ
高石垣の迫力
上野城を訪れたら、必ず見ておきたいのが西側の高石垣です。内堀越しに見上げる約30メートルの石垣は、まさに圧巻の一言。築城の名手・藤堂高虎の技術力の高さを実感できます。
石垣の下から見上げるだけでなく、本丸から石垣の上部を見下ろすこともできます。ただし、柵がない部分もあるため、足元には十分注意してください。石垣の上から見下ろす景色は、その高さをより実感できる貴重な体験となります。
復興天守閣の内部展示
木造三層の天守閣内部には、藤堂家ゆかりの武具・甲冑が多数展示されています。特に、藤堂家伝来の唐冠形兜は、その独特な形状と精巧な作りで見る者を魅了します。
各階には戦国時代から江戸時代にかけての武具類が展示されており、当時の武士の暮らしや戦いの様子を知ることができます。木造建築ならではの雰囲気も魅力で、階段を上る際のきしむ音や、木の温もりが、まさに戦国時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わわせてくれます。
最上階からの眺望と色紙
天守閣最上階は、上野城のハイライトの一つです。天井には横山大観、小川芋銭、山口蓬春など、昭和を代表する日本画家たちによる色紙46点が飾られています。これらは川崎克が天守復興の際に、各界の著名人に依頼して集めたもので、芸術的価値の高いコレクションとなっています。
最上階からは、伊賀の城下町を360度見渡すことができます。北側には城下町の町並み、南側には伊賀盆地の田園風景、東側には鈴鹿山脈の山並みが広がり、四季折々の美しい景色を楽しめます。
伊賀文化産業城としての役割
現在の上野城天守閣は、公益財団法人伊賀文化産業協会によって管理されており、伊賀文化産業城としても知られています。天守閣内では、武具・甲冑の展示だけでなく、伊賀の歴史や文化に関する資料も展示されており、伊賀地域の文化発信拠点としての役割も果たしています。
城内の散策スポット
上野城がある上野公園内には、天守閣以外にも見どころが点在しています。本丸周辺の石垣や堀を巡りながら、往時の城郭の姿を想像するのも楽しみの一つです。
春には桜の名所としても知られ、約400本の桜が咲き誇ります。桜と天守閣、石垣が織りなす景色は絶景で、多くの花見客で賑わいます。また、秋には紅葉も美しく、四季を通じて異なる表情を見せてくれます。
上野城と忍者の関係
伊賀といえば忍者の里として有名ですが、上野城と忍者にも深い関わりがあります。筒井定次が上野城を築いた背景には、伊賀忍者の反乱を警戒する目的がありました。
天正9年(1581年)の「天正伊賀の乱」で織田信長によって平定された伊賀の地は、その後も不穏な空気が漂っていました。筒井定次は、東方からの脅威、特に伊賀忍者の動向を監視するため、上野城を築城したとされています。
一方、藤堂高虎の時代になると、伊賀忍者は藤堂家に仕える存在となり、伊賀者として徳川幕府の情報収集活動などに従事しました。上野城下には忍者屋敷も残されており、現在は伊賀流忍者博物館として公開されています。上野城と合わせて訪れることで、伊賀の歴史をより深く理解できます。
上野城の現在の状況
文化財指定と保存状態
上野城跡は、昭和42年(1967年)12月27日に国の史跡に指定されています。石垣や堀などの遺構は良好な状態で保存されており、江戸時代の城郭の姿を今に伝えています。
復興天守閣は、昭和60年(1985年)3月18日に伊賀市有形文化財に指定されました。木造建築のため定期的なメンテナンスが必要ですが、現在も良好な状態を保っており、多くの観光客を受け入れています。
公益財団法人伊賀文化産業協会による管理
上野城天守閣は、公益財団法人伊賀文化産業協会が管理・運営しています。同協会は、天守閣の維持管理だけでなく、伊賀地域の文化振興や観光促進にも取り組んでおり、各種イベントや展示企画も行っています。
天守閣内の展示内容は定期的に更新され、藤堂家ゆかりの品々や伊賀の歴史資料などが公開されています。また、季節に応じた特別展示なども開催されることがあります。
日本百名城としての認定
上野城(伊賀上野城)は、財団法人日本城郭協会が選定する「日本100名城」の一つに選ばれています(第47番)。この認定は、上野城の歴史的価値や建築的特徴が高く評価されたことを示しており、城郭ファンの間でも人気の高い城となっています。
日本100名城スタンプは、天守閣1階で押すことができます。全国の100名城を巡るスタンプラリーに参加している方は、ぜひ上野城でもスタンプを押してください。
アクセス情報
電車でのアクセス
上野城へのアクセスは、伊賀鉄道「上野市駅」が最寄り駅となります。
- 大阪方面から: JR大阪駅→JR新大阪駅→近鉄大阪難波駅→近鉄大阪線で伊賀神戸駅→伊賀鉄道に乗り換えて上野市駅(所要時間約2時間)
- 名古屋方面から: JR名古屋駅→JR関西本線で伊賀上野駅→伊賀鉄道に乗り換えて上野市駅(所要時間約1時間30分)、または近鉄名古屋駅→近鉄大阪線で伊賀神戸駅→伊賀鉄道に乗り換えて上野市駅
- 京都方面から: 近鉄京都駅→近鉄京都線・橿原線で大和八木駅→近鉄大阪線で伊賀神戸駅→伊賀鉄道に乗り換えて上野市駅(所要時間約2時間)
上野市駅から上野城(上野公園)までは、徒歩約8分です。駅を出て北西方向に進むと、上野公園の入口に到着します。
車でのアクセス
車で訪れる場合は、以下のルートが便利です。
- 名阪国道: 「中瀬IC」または「上野IC」で降りて約10分
- 新名神高速道路: 「甲南IC」で降りて国道25号経由で約30分
上野公園周辺には、市営の駐車場があります。ただし、桜の季節や連休などは混雑することがあるため、公共交通機関の利用をおすすめします。
開館時間と入館料
開館時間: 午前9時00分~午後5時00分(入館は午後4時45分まで)
休館日: 12月29日~31日
入館料(2024年現在):
- 大人(高校生以上): 600円
- 小人(小・中学生): 300円
- 団体割引あり(30名以上)
※料金は変更される場合がありますので、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
周辺の観光スポット
伊賀流忍者博物館
上野公園内にある伊賀流忍者博物館は、上野城と合わせて訪れたい人気スポットです。忍者屋敷では、からくり満載の仕掛けを実演付きで見学でき、忍者ショーも楽しめます。伊賀忍者の歴史や忍術について学べる展示も充実しています。
俳聖殿
上野公園内にある俳聖殿は、松尾芭蕉の生誕300年を記念して昭和17年(1942年)に建てられた建物です。芭蕉の旅姿を模した独特の形状が特徴で、国の重要文化財に指定されています。
だんじり会館
上野天神祭で使用されるだんじり(山車)や鬼行列の展示を行っている施設です。毎年10月に開催される上野天神祭は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、その迫力ある祭りの雰囲気を一年中体感できます。
伊賀市街地散策
上野城周辺の城下町には、古い町並みが残されています。かつての武家屋敷や商家が立ち並ぶ通りを散策すれば、江戸時代の面影を感じることができます。また、伊賀牛や伊賀焼など、地域の特産品を楽しめる店舗も点在しています。
上野城を訪れる際のポイント
見学所要時間
上野城の見学には、天守閣内部の展示をじっくり見る場合、約1時間程度を見込んでおくとよいでしょう。石垣や公園内の散策も含めると、1時間30分~2時間程度が目安です。伊賀流忍者博物館など周辺施設も訪れる場合は、半日程度の時間を確保することをおすすめします。
撮影スポット
上野城の撮影スポットとしておすすめなのは、以下の場所です。
- 西側の高石垣: 内堀越しに見上げる石垣は圧巻。午前中の順光時が特に美しい
- 本丸から見る天守閣: 石垣と天守閣を一緒に収められる定番スポット
- 天守閣最上階からの眺望: 城下町と周囲の山々を一望できる
- 桜の季節の天守閣: 桜と天守閣のコラボレーションは絶景
季節ごとの楽しみ方
- 春(3月下旬~4月上旬): 桜の名所として約400本の桜が咲き誇ります。夜間にはライトアップも行われることがあります。
- 夏(7月~8月): 緑豊かな公園内は木陰も多く、比較的過ごしやすい。天守閣からの眺望も爽快です。
- 秋(11月): 紅葉が美しく、天守閣と紅葉のコントラストが見事。上野天神祭(10月)の時期もおすすめ。
- 冬(12月~2月): 観光客が少なく、ゆっくりと見学できます。雪化粧した天守閣も趣があります。
注意事項
- 高石垣の上部には柵がない場所もあるため、足元に十分注意してください
- 天守閣内は階段が急なため、動きやすい服装と靴での訪問をおすすめします
- 天守閣内部は撮影可能ですが、フラッシュ撮影は展示品保護のため控えてください
- 夏場は日差しが強いため、帽子や日焼け止めなどの暑さ対策をお忘れなく
まとめ
上野城(伊賀上野城)は、築城の名手・藤堂高虎が築いた日本屈指の高石垣と、昭和に復興された木造天守閣が魅力的な名城です。三重県伊賀市上野丸之内に位置し、国の史跡にも指定されている歴史的価値の高い城郭です。
約30メートルの高石垣は圧巻の迫力で、藤堂高虎の築城技術の高さを今に伝えています。天守閣内部には藤堂家ゆかりの武具・甲冑が展示され、最上階からは伊賀の城下町を一望できます。また、天井に飾られた横山大観をはじめとする著名画家の色紙46点も見どころの一つです。
忍者の里・伊賀の中心に位置する上野城は、周辺の伊賀流忍者博物館や俳聖殿などと合わせて訪れることで、伊賀の歴史と文化をより深く理解できます。日本100名城にも選ばれているこの名城を、ぜひ一度訪れてみてください。
春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の静寂と、四季折々の表情を見せる上野城は、何度訪れても新たな発見がある魅力的な観光スポットです。戦国時代の歴史ロマンと、築城技術の粋を堪能できる上野城で、忘れられない思い出を作ってください。
