高松城

所在地 〒760-0030 香川県高松市玉藻町2−1
公式サイト http://www.takamatsujyo.com/

高松城の歴史と見どころ完全ガイド|日本三大水城の魅力を徹底解説

高松城とは|日本を代表する海城の概要

高松城は、香川県高松市玉藻町に位置する平城で、「玉藻城」という美しい別名でも知られています。瀬戸内海に面し、海水を堀に引き込んだ独特の構造を持つこの城は、近世城郭の海城としては最初で最大の規模を誇ります。「讃州さぬきは高松さまの城が見えます波の上」と謡われたように、海に浮かぶような姿が印象的な名城です。

現在は国の史跡に指定され、玉藻公園として一般に公開されています。重要文化財に指定された櫓や門、復元された建造物など、往時の姿を偲ばせる遺構が数多く残り、日本100名城の一つにも選定されています。

「玉藻」という名称は、万葉集で柿本人麻呂が讃岐国の枕詞に「玉藻よし」と詠んだことに由来し、このあたりの海が「玉藻の浦」と呼ばれていたことによるといわれています。

高松城の歴史|築城から現代まで

生駒親正による築城(天正期)

高松城の歴史は、豊臣秀吉の四国征伐後に始まります。1587年(天正15年)、秀吉は生駒親正に讃岐一国を与えました。親正は当初、引田城や聖通寺城に入城しましたが、手狭であったり山城であったりしたため、新たな居城の建設を決断します。

1588年(天正16年)、親正は当時「野原」と呼ばれた瀬戸内海に面した港町に新城の建設を開始しました。築城にあたっては、黒田孝高(官兵衛)や藤堂高虎といった築城の名手が縄張りに関わったとされています。3年後の1590年(天正18年)に城が完成し、同時に地名も高松と改められました。

生駒氏時代(1587年~1640年)

生駒親正から始まる生駒氏の統治は4代にわたって続きました。この間、高松城は讃岐国の政治・経済の中心として発展します。生駒氏は城下町の整備にも力を入れ、高松の基礎を築きました。

しかし、1640年(寛永17年)、生駒氏は御家騒動(生駒騒動)により改易となり、讃岐国から去ることになります。

松平氏時代と城の大改修(1642年~明治維新)

1642年(寛永19年)、徳川光圀の兄である松平頼重が常陸国から12万石で高松に移封されました。頼重は高松城に入城すると、城の大規模な改修を行います。現在見られる高松城の遺構の多くは、この松平頼重による改修によるものです。

松平氏は明治維新まで11代にわたって高松を治めました。この間、高松城は讃岐の政治の中心として機能し続けます。

明治以降の変遷

明治維新後、多くの城が解体される中、高松城も例外ではありませんでした。1884年(明治17年)には天守が老朽化を理由に解体されてしまいます。その後、城跡の多くは民間に払い下げられ、一部は陸軍の施設として利用されました。

昭和に入り、城跡の保存と活用が進められます。1955年(昭和30年)には玉藻公園として一般公開が始まり、2006年(平成18年)には指定管理者制度が導入され、香川県造園事業協同組合が管理運営を行っています。

高松城の構造|海城としての独特な縄張り

日本三大水城としての特徴

高松城は、今治城(愛媛県)、中津城(大分県)とともに日本三大水城の一つに数えられます。その最大の特徴は、瀬戸内海の海水を堀に直接引き込んだ構造にあります。

城の北側は海に面し、東西南の三方を海水の堀で囲まれていました。この堀には潮の満ち引きによって海水が出入りし、堀の中には鯛などの海水魚が泳いでいました。現在も玉藻公園内の堀では鯛の餌やり体験ができ、訪れる人々を楽しませています。

本丸・二の丸・三の丸の配置

高松城は本丸を中心に、二の丸、三の丸が配置された輪郭式の縄張りを持っていました。本丸は海に最も近い北側に位置し、天守はこの本丸に建てられていました。

本丸には天守のほか、御殿や櫓が配置され、藩主の居住空間と政務の場が設けられていました。二の丸と三の丸には家臣の屋敷や藩の施設が配置され、城下町へと続いていました。

天守の構造

高松城の天守は、最下重が天守台より出張る構造(萩城や熊本城と同様)で、最上重が「唐造り」(小倉城や岩国城と同様)という独特の形式でした。三重四階地下一階の構造を持ち、海城にふさわしい堂々たる姿を誇っていました。

残念ながら明治時代に解体されてしまいましたが、古写真や絵図が残されており、現在、天守の復元に向けた調査研究が進められています。

現在の高松城跡|玉藻公園の見どころ

重要文化財の建造物

高松城跡には、国の重要文化財に指定された貴重な建造物が3棟残されています。

月見櫓
月見櫓は、北の丸の北西隅に位置する二重三階の櫓です。海に面して建てられており、月見の宴を催すために使われたと伝えられています。水面に映る月を愛でることができる風雅な建物で、高松城を代表する遺構の一つです。

艮櫓(うしとらやぐら)
東の丸の東北隅に建つ三重三階の櫓で、城内で最も大きな櫓です。艮(うしとら)は北東を意味し、方角を示す名称となっています。重厚な構造を持ち、防御の要としての役割を果たしていました。

水手御門(みずてごもん)
北の丸と二の丸を結ぶ水門で、海に面して開かれていました。藩主が船で城に出入りする際に使用された特別な門です。渡櫓門の形式を持ち、海城ならではの独特な遺構として貴重です。

披雲閣

披雲閣は、明治時代に松平家の別邸として建てられた建物です。数寄屋風の優雅な造りで、庭園とともに国の名勝に指定されています。大正天皇の行在所としても使用された格式高い建物で、現在は一般公開されており、内部を見学することができます。

天守台

本丸に残る天守台は、花崗岩で築かれた立派な石垣です。天守は失われましたが、この天守台に登ることができ、瀬戸内海や高松市街を一望できます。

現在、天守の復元に向けた取り組みが進められており、2013年(平成25年)には天守台の修復工事が完了しました。復元のための調査研究が継続されており、将来的には往時の姿を取り戻すことが期待されています。

鞘橋(さやばし)

本丸と二の丸を結ぶ橋で、屋根付きの珍しい形式です。現在の橋は復元されたものですが、往時の雰囲気を感じることができます。

桜の馬場と庭園

玉藻公園内には美しい日本庭園が整備されており、四季折々の風景を楽しむことができます。特に春には桜が咲き誇り、多くの花見客で賑わいます。

高松城の文化財指定

高松城跡は、1955年(昭和30年)に国の史跡に指定されました。さらに、2012年(平成24年)には、披雲閣庭園が国の名勝に指定されています。

重要文化財に指定されている建造物は以下の3棟です:

  • 月見櫓、続櫓、渡櫓(附:石垣)
  • 艮櫓(附:石垣)
  • 水手御門、続櫓(附:石垣)

これらの文化財指定は、高松城が歴史的・文化的に極めて価値の高い遺産であることを示しています。

施設情報とアクセス

玉藻公園の基本情報

所在地
〒760-0030 香川県高松市玉藻町2-1

開園時間

  • 4月~9月:午前7時~午後6時
  • 10月~3月:午前8時30分~午後5時

(ただし、日の出前の入園はできません)

休園日
12月29日~12月31日

入園料

  • 大人(16歳以上):200円
  • 小人(6歳以上16歳未満):100円
  • 6歳未満:無料

※団体割引や年間パスポートもあります

アクセス方法

電車でのアクセス

  • JR高松駅から徒歩約3分
  • ことでん高松築港駅から徒歩約1分

高松城は、JR高松駅のすぐ近くに位置しており、交通の便が非常に良いのが特徴です。四国の玄関口である高松駅からすぐにアクセスできるため、観光の最初や最後に立ち寄るのにも適しています。

車でのアクセス

  • 高松自動車道・高松中央ICから約15分
  • 駐車場:玉藻公園専用駐車場はありませんが、周辺に有料駐車場が多数あります

バスでのアクセス

  • ことでんバス「高松駅」バス停下車、徒歩約3分

高松城の楽しみ方|おすすめの見学ルート

基本的な見学ルート(所要時間:約60~90分)

  1. 東入口から入園(JR高松駅側)
  2. 披雲閣と庭園を見学:優美な建築と日本庭園を楽しむ
  3. 艮櫓を外観から鑑賞:城内最大の櫓の威容を確認
  4. 鞘橋を渡って本丸へ:屋根付きの珍しい橋を体験
  5. 天守台に登る:高松市街と瀬戸内海の眺望を楽しむ
  6. 月見櫓と水手御門を見学:重要文化財の櫓と水門を鑑賞
  7. 堀で鯛の餌やり体験:海城ならではの体験
  8. 桜の馬場を散策:季節の花々を楽しむ

季節ごとの見どころ

春(3月~5月)
桜の季節には約80本のソメイヨシノが咲き誇ります。夜間にはライトアップも行われ、幻想的な夜桜を楽しめます。

夏(6月~8月)
新緑が美しく、涼やかな海風を感じながらの散策が心地よい季節です。

秋(9月~11月)
紅葉が庭園を彩り、落ち着いた雰囲気の中で城跡を巡ることができます。

冬(12月~2月)
空気が澄んで瀬戸内海の眺望が一層美しくなります。冬ならではの凛とした雰囲気を味わえます。

特別イベント

玉藻公園では年間を通じてさまざまなイベントが開催されます:

  • 桜のライトアップ(3月下旬~4月上旬)
  • 月見の宴(中秋の名月の頃)
  • お城まつり(例年5月)
  • 菊花展(秋季)

周辺の観光スポット

高松城を訪れた際には、周辺の観光スポットも合わせて巡ることをおすすめします。

栗林公園
国の特別名勝に指定された日本を代表する大名庭園。高松城から車で約10分。

屋島
源平合戦の古戦場として知られる景勝地。高松市街と瀬戸内海の絶景が楽しめます。

高松市美術館
高松城から徒歩圏内。香川県ゆかりの作家の作品を中心に展示。

北浜alley
古い倉庫をリノベーションしたおしゃれな商業施設。カフェやショップが並びます。

高松シンボルタワー
高松港のランドマーク。展望フロアからは高松市街と瀬戸内海を一望できます。

高松城の天守復元計画

高松城では、失われた天守を復元する計画が進められています。2013年(平成25年)には天守台の修復工事が完了し、復元に向けた準備が着々と進んでいます。

天守復元には、古写真や絵図、発掘調査の成果などを基に、できる限り忠実に往時の姿を再現することが目指されています。ただし、復元には多額の費用と時間が必要であり、実現までにはまだ時間がかかる見込みです。

高松市では「高松城天守復元基金」を設置し、寄付を募っています。天守が復元されれば、高松城の価値はさらに高まり、四国を代表する観光名所となることが期待されています。

高松城を訪れる際の注意点とマナー

見学時の注意点

  • 重要文化財の建造物は外観のみの見学となります。内部公開は特別な機会を除いて行われていません。
  • 天守台の石垣には登らないようにしてください。石垣の保護のため、決められた通路以外への立ち入りは禁止されています。
  • 堀への餌やりは指定の場所で専用の餌を使用してください。一般の食べ物を与えることは禁止されています。
  • ペットの入園は原則禁止です(盲導犬などの補助犬は除く)。
  • ドローンの飛行は禁止されています。

写真撮影について

  • 個人的な記念撮影は自由にできますが、三脚を使用する場合は事前に管理事務所に確認してください。
  • 商業目的の撮影には許可が必要です。
  • 他の来園者の迷惑にならないよう配慮しましょう。

バリアフリー情報

玉藻公園では、車椅子での見学も可能ですが、一部の施設(天守台など)は階段があるため、アクセスが困難な場所もあります。事前に管理事務所に問い合わせることをおすすめします。

まとめ|高松城の魅力を再発見

高松城は、日本を代表する海城として、独特の歴史と構造を持つ貴重な文化遺産です。生駒親正による築城から始まり、松平頼重による大改修を経て、讃岐の中心として栄えた歴史は、現在も玉藻公園の遺構に刻まれています。

重要文化財の月見櫓、艮櫓、水手御門は、往時の姿を今に伝える貴重な建造物であり、海水を引き込んだ堀で鯛が泳ぐ光景は、海城ならではの風情を感じさせます。JR高松駅からすぐという抜群のアクセスの良さも、訪れやすい魅力の一つです。

天守復元計画が進む高松城は、これからも新たな魅力を加えながら、多くの人々を迎え続けることでしょう。四国を訪れた際には、ぜひこの美しい海城の歴史と風景を体験してください。「讃州さぬきは高松さまの城が見えます波の上」と謡われた往時の姿を想像しながら、玉藻公園を散策する時間は、きっと忘れられない思い出となるはずです。

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